freeeが上場を直前にして2020年2月以降の法人プランの料金改定を公表しました。一部SNSでは「一律10倍の値上げ」といった情報も飛び交い始め炎上気味になっているので、何が変わるのか確認してみました。
その後、ユーザーの熱い要望により、機能制限の範囲が一部変更になりました。
以下の記載はその変更を反映しています。
当事務所の法人顧問先におかれましては、まずはご自身の料金プランをご確認下さい。
freeeにログインすると画面の右上に現在のプランが表示されています。
- ミニマムプラン:今回の改定で影響があるのは年齢表のみです
- ベーシックプラン:以下の影響がありますが、当事務所の顧問先の皆さまにはほとんど影響はなさそうです。しかし中には便利な機能もあり、きちんと機能を紹介しきれていなかったところは申し訳なく思っています。
何が変わるのか?
freeeから公表された ベーシックプラン(3,980円/月のプラン) における機能制限は以下の通りで、これらの機能を引き続き利用するためにはプロフェッショナルプラン(39,800円/月のプラン)への変更が必要になるとのことです。
- 配賦仕訳関連(会計事務所プランは引き続き使用可)
- 仕訳承認
- 仮締め(会計事務所プランは引き続き使用可)
- 試算表・全部門比較エクスポート
- カスタム権限
- グループ管理
- ジャパンネット銀行ワンタイム口座
以下の機能は機能制限が解除になりました。 - 消し込みに関する自動登録ルールの作成
- 年齢表
どういった法人が影響を受けるのか?
このうち当事務所の業務に影響が生じそうなのは年齢表と仮締めですが、年齢表はGoogleスプレッドシートアドオン機能を使ってピボット集計すれば同等のレポートは楽に作成できそうですし、仮締めも会計事務所側では引き続き使えるようなので、大きな影響はないかなというところ。
上場準備などで内部統制を会計システムに組み込んでいる法人は仕訳承認や仮締めの機能は必要かもしれないですが、そういう会社はすでにプロフェッショナルプランを利用しているように思います。
また、SNSで話題になっている配賦計算機能の制限は社会福祉法人やNPO法人といった拠点別のレポートが必要な法人にとっては残念な改定かもしれません。さすがにこのために10倍にもなる利用料は負担できないでしょう。いったんGoogleスプレッドシートアドオンを使ってfreee外に吐き出し配賦計算を行った後に配賦仕訳を再度freeeに取り込むといった迂回策が必要になりそうですが、ベーシック→プロフェッショナルへのプラン変更をしなくてもどうにかなる気もします(手間はかかってしまいますが)。
今回の料金改定は株式会社freee自体の上場直前のタイミングということもあり、ユーザーを囲い込むだけ囲い込み離れられなくした後、値上げを行うことに対して、大きな不満を言っている人達(特にこれまでfreeeを熱烈に支持していた層も含まれます)が多くなっています。
従来使えていた機能を一部制限して、より上位の料金プランへの変更を促す施策はこれまでにも行われてきたことですし、プラットフォームを利用する以上はそうしたリスクとは付き合い続ける認識は必要と思います。今回については上位プランがいきなり料金10倍というのが不満の原因の1つであって、1.5倍~2倍ぐらいのプランが用意されていればよかったのかもしれません。また、将来的に上位プランのみに制限を掛ける予定のある機能を実装した場合は、「お試し機能」など分かりやすい表示にしてもらいたいです。
今後のことを考えるとプラン変更の方針は明確にしてもらいたいところです。