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監査が必要となる医療法人の要件が明らかに

平成28年4月20日に、「医療法施行規則及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令(厚生労働省令第96号)」(以下「本省令」といいます)が公布され、公認会計士等の監査が必要となる医療法人(以下「監査対象医療法人」といいます)の要件が明記されました。

公表から1週間が経とうとしていますが、ちょうど業界では繁忙期ゆえか、あまりブログ等でまとめているのを見かけないので、医療専門と標榜している会計士としては、いまからでもきちんとお伝えしなければと思っております。

医療法においては、昨年の9月の参議院で改正法案が可決され、医療法人に公認会計士等の監査が義務づけられることは決まっていたのですが、いったいどのような医療法人が対象になるのかが、この省令が出るまでは噂の域を出ない状況でした。

医療法第51条

2 医療法人(その事業活動の規模その他の事情を勘案して厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。)は、厚生労働省令で 定めるところにより、前項の貸借対照表及び損益計算書を作成し なければならない。

5 第二項の医療法人は、財産目録、貸借対照表及び損益計算書について、厚生労働省令で定めるところにより、公認会計士又は監査法人の監査を受けなければならない。

本省令では監査対象医療法人は、

  1. 負債が50億円以上または事業収益70億円以上の医療法人
  2. 負債が20億円以上または事業収益が10億円以上の社会医療法人
  3. 社会医療法人債発行法人である社会医療法人

第三十三条の二 法第五十一条第二項の厚生労働省令で定める基準に該当する者は、次の各号のいずれか に該当する者とする。

一 最終会計年度(事業報告書等につき法第五十一条第六項の承認を受けた直近の会計年度をいう。以 下この号及び次号において同じ。)に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が五十億円以 上又は最終会計年度に係る損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が七十億円以上である医 療法人

二 最終会計年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二十億円以上又は最終会計年度 に係る損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が十億円以上である社会医療法人

三 社会医療法人債発行法人である社会医療法人

と明記されました。

では例えば負債が50億円以上または事業収益70億円以上の医療法人とはどれぐらいの規模感なのでしょうか。診療科の構成や外来診療のウェイト、資金調達の状況などによって一概に言うことは難しいですが、厚労省が公表している「平成25年度 病院経営管理指標」では、概ね300床以上というのが目安になるのではないでしょうか(292ページ、340ページ)。社会医療法人の場合にはもう少しバーが下がり、50床もしくは100床程度の規模でも対象になりそうです。