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独立開業して思ったこと

 

 

 

 

早いものでこの9月で独立開業してから満3年が経とうとしています。
大きく分けると公認会計士としての仕事(ベンチャー企業の監査役も会計士がきっかけ)と税理士としての仕事があり、それぞれ独立前後での印象が異なるので、これを機会にまとめてみようと思います。これから独立を考えている方はご参考にして下さい。

公認会計士:当初想定していなかった仕事多数

公認会計士としてできる業務は思っているよりも多岐にわたります。自分で勝手にできる業務の範囲を狭めずにいた方がよいでしょう。

監査業務

上場企業の監査は大手監査法人でないと採算が厳しくなっていくのではないか

一方ベンチャー企業は大手監査法人は消極対応で今後もその傾向は強くなるのではないか

IPOに特化したそこそこの規模の監査法人ができることが業界にとって必要

いずれにしても個人で上場企業の監査に手を出そうとは思わないし、監査法人を立ち上げるつもりもない

医療法人・社会福祉法人を始めとして監査の職域は広がっており、個人であっても監査業務を引き受けるチャンスは十分ある(私も医療法人監査を受注しましたが、もうあと2,3法人で手一杯でしょう)

財務DD

規模の大小限らずいつもどこかで会計士を探している業務。

元請けになるには継続して紹介or発注してくれる金融機関やM&A意欲が旺盛な企業とコネクションを構築する必要があるが、逆にそうしたファームは常に会計士不足なので下請け仕事にありつくにはそれほど困らない。

ただしいつ業務が発生するか読めないし、打診があっても業務に着手するタイミングが流動的

独立当初はスケジュールが埋まっていないので、スケジュール調整しやすいし、多少日程がずれても機会損失は少ないが、ある程度事務所が軌道に乗ってくると、突然の打診に応えることは難しい。

決算支援

M&Aによるグループ急拡大、IFRS導入など企業の既存のリソースでは対応できなくなってきて、監査に耐えられなくなる(または一時的に経理部がもの凄いブラック化しながら対応)している企業は意外に多い。

財務DDと異なり、ルーチンの成果物が必要なので、継続業務になりやすい。

季節的な業務で専門性の高い要素も多い(連結、税効果、開示など)ため、中堅規模の上場企業はもっとフリーランスの会計士を活用すればよいのにと、自身の営業も含めてポジショントークしてみる。

監査役

ベンチャー企業では監査法人との対応などキチンと株主の利益を代弁するニーズは高い。

特に上場が近いベンチャーでは常勤監査役のニーズが高いが独立開業の会計士は就任困難。

当然であるが法人の役員として会社法上の責任がある。決して名前だけといったノリで引き受けてはいけない。

税理士:ほぼ想定通りだがイノベーションの余地は沢山ある

 税務顧問という優れたビジネスモデル(基本継続業務、細かい業務内容はともかく広く一般に認知されている)を先達が構築してくれたおかげで営業はしやすい

びっくりするぐらいIT化が進んでいない事務所もある

過当競争、ITにより将来無くなる仕事の代表格だが、サービスデリバリーや税務顧問のバリューを紐解いていくと、上場企業の監査などよりずっと収益化しやすいのではないかと思っている

会計の専門家というよりは税という法律の専門家と理解した方がいろいろとしっくりくる。公認会計士の多くが持つ経済合理性という感覚を持ち込みすぎると手痛い失敗をするリスクがある(特に消費税、相続税)。

第1条の重要性

先月、サッカー審判3級の更新講習に行ってきました。
この更新講習は2年毎にあり、時程の半分ぐらいが日本サッカー協会の著名な審判の方の講演になっています。
今回は、吉田寿光さんの講演でした。吉田さんは長らく高校の教員をされていて、受講生の中にも教員志望の学生の方が結構いたことから、教育法第1条の話になりました。たいていの法律の第1条にはその法律の目的が規定されており、その根幹をなす条文であると言えると思います。

公認会計士法と税理士法第1条をそれぞれ記載します。

(公認会計士法)
第一条  公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もつて国民経済の健全な発展に寄与することを使命とする。

(税理士法)
第一条  税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

我々がプロフェッショナルサービスを提供するにあたり、絶対に忘れてはならない視点ですね。

アナログな工夫

今日はもともと娘の幼稚園の運動会でしたが、雨天中止となったため、こんなものを作っていました。

記帳代行も引き受けているクライアントの中には領収書の整理をどうしても溜めてしまい、会計処理が遅くなる先もあります。どうしてそうなってしまうのか理由は様々だと思いますが、単に声掛けするだけではなく、面倒だと思われる作業のハードルをひとつずつ下げる工夫をしてみることにしました。

クライアントが領収書を当事務所に送付するパターンは郵送とスキャンしてデータを共有フォルダに入れるの2通りあり、それぞれ作業工程は以下の通りです。

(郵送のパターン)
①領収書を集めて整理する
②封筒に入れて宛名を書いてポストに入れる

(スキャンするパターン)
①領収書を集めて整理する
②スキャナーでスキャンする
③スキャンしたデータを共有フォルダに移す

まず①でつまずいてしまわないよう、後処理を考えた封筒を作成しました。普通の封筒でもよかったのですが、机の上などに寝かせて置くと、他の書類と紛れて探すこと自体や封筒の口を開くこと自体が面倒になってしまう可能性があるため、マチ幅を付けて封筒自体が自立するようにしました。ちょっと手が空いた時間に財布に入っている領収書をどちらかの封筒に投げ込んでもらえればという感じです。

そして1ヶ月経ったら郵送のパターンの場合はそのまま閉じて長3型の定形封筒またはレターパックに入れて郵送してもらえばOKな大きさにしてあります。②の封筒への宛名書きも面倒なら、予め送り先を記入した封筒やレターパックを渡しておいてもよいかもしれません。多少コストはかかりますが、それでお互い仕事がスムーズに進むのなら大した金額ではないと思います。スキャンする場合も1カ所にまとまっていればスキャンしやすいでしょうし、終わったら同じようにそのまま封筒を閉じて保管しておいてもらえればOKです。

地味な工夫を積み重ねて業務効率化を図って参ります。

freee様の事例紹介をいただきました

ずいぶん前のことなのですが、クラウド会計のfreee様の取材を受け、お客様事例と認定アドバイザー紹介動画を掲載していただいています。
この画面の右側のウィジェットに貼り付けましたので、興味のある方はご覧下さい。
これからの会計事務所のビジネスモデルについて語っています。

税務業務のインフラ整備

10月の前半は比較的時間に余裕があったので、業務周りのインフラ構築をしています。
税務のお客様がコンスタントに増えてきているので、懸案事項だった税務ソフト達人シリーズを申し込みました。
東京税理士会関連の協同組合経由で申し込むと、法人税、所得税、消費税、減価償却、年調・法定調書、内訳概況書の6本が月額組合料金で使えるようになるというもの。
これまでは国税庁のe-taxソフトをダイレクトに使っていましたが、個人の所得税はなんとかなるものの、別表などの帳票が多い法人は厳しいところと思っていました。
これにより税務全体の生産性がアップすることが期待できそうです。

追記
申込みをするときにパソコンの買い換える可能性があると担当の方に伝えたところ、
「絶対にWindows10にはしないで下さい!!e-taxソフトもまだ対応していないので。」と言われました。
今使っているWin8.1PCもタスクバーにWindows10へのアップデートがたびたび出てくるので、危うくアップデートしてしまうところでした。
いずれはe-taxも達人シリーズも対応してくるのだと思いますが、早めにお願いしたいところです。

税務業務の見える化

今日の東京は台風18号の影響からか、1日中強い雨が降っています。

ここ数ヶ月の間に税務のクライアントが一気に増えたため、どんなタスクをいつやるべきかの整理とテンプレート化、タスク管理システムへの登録(毎月定期的にToDoリストを作ってくれて、カレンダーソフトと同期してくれる)を行っていました。こうしておくことで、やり漏れたことがないか不安になることも少なくなりますし、いずれ誰かにお願いすることになっても引き継ぎやすいと思っています。

おかげさまで

最近、税務顧問のお仕事が一気に増えてきました。
7月から立て続けにご紹介をいただき、またそれ以外のルートからもご相談をいただくなどして、税務顧問のクライアントが増えました。

昨年末のブログで書いたように、うちの事務所はクラウドの業務システムを駆使してバックオフィス業務をこなしています。

中心となるのはクラウド会計システムのfreeeなわけですが、ご紹介いただくお客様は「freeeを使いたいのだけれども、対応してくれる税理士を探していた。」「いまの税理士はfreeeに対応してくれない、分かっていない。」といった方がほとんどで、このニーズは結構あるのではないかという気がします。
私の場合、freeeへの対応だけでなく、自分の事務所で構築しているクラウドシステムによる業務効率化も同時に奨めています。販売系は業種によってマッチする場合とそうでない場合があるのですが、経費システム(Streamed)は初回訪問時にScansnapでデモを行い説明をすると、大変よく刺さります。

ここ最近の顧問数の増加によって、freeeのアドバイザー検索の順位も東京都で20位台に入ってきたので、この調子で上級アドバイザーまで持っていきたいと思います。

e-taxを始めるまでの手順(最短・・・だと思います)

確定申告の時期になりました。
私自身の確定申告は還付ポジションだったため、2月初旬に提出しました。
電子申告を行ったのですが、クライアントにも勧める場合、その手順をマニュアルにしておこうと思います。
まず最初にお伝えしておきたいのは、e-taxのホームページで進んで行くとかなり高い確率で迷子になりますし、e-taxを始めるまでの途中に様々なクエストが用意されています。
e-taxの導入にあたり大きなハードルになっているように思います。e-taxはやってみると非常にラクで、時間に関係なく自宅のPCで提出できる、医療費明細などの証憑の添付が省略できる(保管は必要)、還付金の処理が早いなどメリットが大きいです。
RPGゲームだったらクエストのクリアも楽しみの一つですが、これは単なる手続ですので、最短距離で行きたいものです。

記事の目次
1.用意するもの:電子証明書とICカードリーダーが要ります
2.利用者識別番号の取得: http://www.e-tax.nta.go.jp/todokedesho/kaishi3.htm から申請できます。
3.申告書の作成・送信:
e-taxソフトのダウンロードサイト http://www.e-tax.nta.go.jp/download/e-taxSoftDownLoad.htm
e-taxソフト(Web版)サイト http://www.e-tax.nta.go.jp/e-taxsoftweb/e-taxsoftweb_kakunin_win8.htm
国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」 https://www.keisan.nta.go.jp/h26/ta_top.htm#bsctrl

決算書や申告書の作成を税理士にお願いしている場合には、上の手続を納税者が行う必要はなく、すべて税理士が行うことができます。

1.用意するもの(税理士に代理送信してもらう場合は不要)

・電子証明書
→住民票のある市役所に出向いて申請します。残念ながらここはPCだけでは完結できません。確定申告の期限ぎりぎりだとここでいきなり躓くポイントです。

・ICカードリーダーライターの購入
→Amazonなどで購入することが出来ます。様々な製品がありますので、e-taxに対応しているかどうかを確かめて購入します。
  

2.利用者識別番号の取得(税理士に代理送信してもらう場合は不要)

ICカードやリーダーといった物が揃ったら、「利用者識別番号」を取得します。
「利用者識別番号」でググるとこのページに誘われます。
利用者識別番号の取得1
説明書きを読んでいくと、利用者識別番号を入手するには「開始届出書」なるものの提出が必要だとか。オンライン提出と書面での提出の両方が選択できますが、ここまでお読みの方は当然オンライン提出ですよね。

画面左のリンク先を踏んでいってもたどり着けますが、ここにショートカットのURLを示します。これで一気に開始届出書の選択画面に飛ぶことが出来ます。
http://www.e-tax.nta.go.jp/todokedesho/kaishi3.htm
開始届出書提出3
この画面が表示されたら、個人か法人かを選んで開始届出書を作成します。

<ここでは個人の場合を示します>
開始届出書の作成1 開始届出書の作成2 開始届出書の作成3
こんな感じの画面に入力を続けていくと、利用者識別番号がすぐに発行されます。

3.申告書等の作成(税理士に作成を依頼してる場合は不要)
申告書等の作成にあたっては以下の3つの方法があります。私は1のe-taxソフトをダウンロードして作成・送信しました。

  1. e-taxソフトをダウンロードして申告書等を作成・送信する方法
  2. e-taxソフト(web版)を使って申告書等を作成・送信する方法(ブラウザはwindowsの場合、IEでないとはじかれます)
  3. 国税庁ホームページ「確定申告書等作成コーナー」から作成・送信する方法

税理士証票交付式に行ってきました

今週の水曜日の午後は税理士証票交付式でした。
東京税理士会では12月は60名以上の税理士登録があったとのこと。
税理士業務を行うに当たっての留意事項の説明などもあり、勉強になりました。
なかでも印象的だったのが、税理士という職能の立ち位置についての説明と、禁止事項としていわゆる「名義貸し」について。

税理士という職能
私の場合は公認会計士の資格による税理士登録でしたので、税理士も会計分野における税務の専門家と捉えていましたが、基本的なスタンスとしては法律分野における税法の専門家が正しい理解のようです。税理士の独占業務である「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」は法律事務としての位置づけであり、税理士資格がなくても可能な付随業務である「記帳代行」「財務書類の作成」は会計分野としての位置づけということになります。

名義貸し
税務書類の作成を無資格の第三者に行わせ税理士本人は何もせずハンコだけ押すのが名義貸しですが、確信犯的にそれを行う税理士は論外として、「かつての受験仲間で片方が先に合格し税理士資格を取得、もう一方は記帳代行などの仕事を受注しつつ最後の税務書類の作成についてもこれを手がけ、すでに合格した受験仲間に名義貸しを依頼するケース」や「それなりの所帯となった税理士事務所の所長が急逝するなど業務ができなくなったとき、旧知の税理士にこれを依頼するケース(番頭的な無資格者が実務遂行可能)」といった義理人情にもとづく名義貸しの問題が結構あるようです。

いずれも有資格者が業務に当たることを旨としている当事務所には関係ないようですが、今後注意したいと思います。

税理士証票とともに立派なモノをいただきました。
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税理士登録が完了しました

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12月16日に税理士登録が完了したとの連絡が来ました。来週24日に認証式だそうです。
これで独立開業してやっていくためのライセンスが全て揃いました。

それぞれの資格が必要な業務を以下に整理してみました。
・公認会計士:会計監査
・税理士:税務相談、税務書類作成、税務代理
・経営革新等支援機関:政府系金融機関などの優遇金利制度適用や返済条件変更時の経営計画策定の支援など
実際には上記以外の業務でも付加価値を出すことになると思われますが、その場合でもこれらの業務が取っ掛かりになるので、いろいろな入り口が揃い、ようやくここからが本当のスタートになります。