医療経営」カテゴリーアーカイブ

執筆した書籍が発売されました

昨年夏より執筆活動を行っていた書籍がようやく発売になりました。

非営利法人に携わる方々がこの一冊で会計税務実務の概ねをカバーできるようにというのが刊行の趣旨です。

私は医療法人の章を担当しました。

ご興味ありましたら是非ご覧ください。

 

クリニックの収益計上を極力自動化する

クリニックの会計処理の中で、保険診療の請求(レセプト)を会計システムに計上するというルーチンがあります。多くのクリニックはレセプトは電子化されており、会計処理に必要な情報は電子化されています。しかし、それを会計システムに取り込むにはいったん手作業で入力しなければならず、それほど膨大な手間ではないとはいえ、せっかくfreeeを使っているのになんとかならないかと思っていました。

freeeにはエクセルインポート機能があり、レセコンも多くはcsvデータに出力することが可能です。そこで、クライアントから入手したcsvデータからfreeeにエクセルインポートできる様式を一発で作成するマクロを作りました。

これでエクセルのマクロボタン1つ押せば、freee様式のエクセルファイルの作成、所定のフォルダへの保存まで行うことができるようになりました。

次はfreeeのAPIを勉強してfreeeへの会計処理も自動化したいと思いますが、もしかしたらレセコンシステムのどこかがfreeeに対応するようになるかもしれません(ずっとそれを期待しているのですが、なかなか出てこないので自分でマクロを作ってしまった次第です)。

監査が必要となる医療法人の要件が明らかに

平成28年4月20日に、「医療法施行規則及び厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令の一部を改正する省令(厚生労働省令第96号)」(以下「本省令」といいます)が公布され、公認会計士等の監査が必要となる医療法人(以下「監査対象医療法人」といいます)の要件が明記されました。

公表から1週間が経とうとしていますが、ちょうど業界では繁忙期ゆえか、あまりブログ等でまとめているのを見かけないので、医療専門と標榜している会計士としては、いまからでもきちんとお伝えしなければと思っております。

医療法においては、昨年の9月の参議院で改正法案が可決され、医療法人に公認会計士等の監査が義務づけられることは決まっていたのですが、いったいどのような医療法人が対象になるのかが、この省令が出るまでは噂の域を出ない状況でした。

医療法第51条

2 医療法人(その事業活動の規模その他の事情を勘案して厚生労働省令で定める基準に該当する者に限る。)は、厚生労働省令で 定めるところにより、前項の貸借対照表及び損益計算書を作成し なければならない。

5 第二項の医療法人は、財産目録、貸借対照表及び損益計算書について、厚生労働省令で定めるところにより、公認会計士又は監査法人の監査を受けなければならない。

本省令では監査対象医療法人は、

  1. 負債が50億円以上または事業収益70億円以上の医療法人
  2. 負債が20億円以上または事業収益が10億円以上の社会医療法人
  3. 社会医療法人債発行法人である社会医療法人

第三十三条の二 法第五十一条第二項の厚生労働省令で定める基準に該当する者は、次の各号のいずれか に該当する者とする。

一 最終会計年度(事業報告書等につき法第五十一条第六項の承認を受けた直近の会計年度をいう。以 下この号及び次号において同じ。)に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が五十億円以 上又は最終会計年度に係る損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が七十億円以上である医 療法人

二 最終会計年度に係る貸借対照表の負債の部に計上した額の合計額が二十億円以上又は最終会計年度 に係る損益計算書の事業収益の部に計上した額の合計額が十億円以上である社会医療法人

三 社会医療法人債発行法人である社会医療法人

と明記されました。

では例えば負債が50億円以上または事業収益70億円以上の医療法人とはどれぐらいの規模感なのでしょうか。診療科の構成や外来診療のウェイト、資金調達の状況などによって一概に言うことは難しいですが、厚労省が公表している「平成25年度 病院経営管理指標」では、概ね300床以上というのが目安になるのではないでしょうか(292ページ、340ページ)。社会医療法人の場合にはもう少しバーが下がり、50床もしくは100床程度の規模でも対象になりそうです。

医療法人の再生に追い風

先週末から週明けに掛けて、いくつかセミナーに参加してきました。
それぞれ分野の異なるセミナーでしたが、私としてはこれまでやってきたこと、考えてきたことを掘り起こす良い機会になりました。

その中でも

「認定経営革新等支援機関による経営改善計画策定支援事業の対象に医療法人も追加」

が大変嬉しい発見でした
私としてはタイムリーというか、セミナーに参加していなければ完全にスルーしてしまっていた可能性があります。
経営革新等支援機関は独立してすぐに登録しましたが、基本的に医療法人は対象外(認定支援機関等向けマニュアル・FAQにしっかり明記されていた)とされていて、一般の事業会社の再生はメインのクライアントとして考えていなかったため、
創業補助金申請かものづくり補助金ぐらいの関与かなと思っていました。
月曜日に参加した以下のセミナーも、ものづくり補助金のノウハウを学ぶことが主な目的でありました。

経営革新等支援機関推進協議会主催
会計事務所だからできるものづくり補助金の取り組み方とは!?

対象外だったことをすっかり忘れて、「医療法人ってこの経営革新等支援機関の対象外だったっけ?」と改めてマニュアルを確認したところ、なんとつい最近の平成27年2月5日改訂版では従業員300人以下の医療法人も制度の対象になっていました。これで経営の苦しくなった医療法人にも、認定支援機関の実施する経営改善計画策定支援やその後のモニタリング費用の3分の2(上限200万円)が補助される道が開かれました。これから小規模の病院を経営する医療法人は厳しい経営環境にさらされ、金融支援が必要となるところが増えてくるでしょう。この制度を使って、医療法人が地域で存続していくお手伝いができればと思っています。当事務所では財務面だけではなく、業務の改善も対応できる経験豊富なコンサルティング会社と連携していますので、経営が厳しくなった医療法人にトータルなサポートを実施していきます。

平成27年2月5日改訂版「認定支援機関等向けマニュアル・FAQ」

雑誌「医療経営士」にインタビュー記事が掲載されます

独立して最初のお仕事は雑誌のインタビューでした。

株式会社日本医療企画さんが発行している「医療経営士」という雑誌の中で、医療機関以外で働く医療経営士を特集した記事です。11月20日発売予定の12月号に掲載されます。

実はこのお話は7月中旬ぐらいにいただいていて、その時はちょうど退職することが決まった直後ぐらいでした。その旨をお伝えしたところ、「それなら時期を少し後ろにずらして掲載しましょう。独立をサポートすることにもなるし。」と大変ありがたい計らいをしてくださり、掲載が実現することになりました。

取材の日時は独立初日の10月1日に決まりましたが、次はインタビューの場所を決める必要がありました。
場所は私が選ぶのですが、自宅で取材を受けるわけにもいかず、コワーキングスペースのPAX Coworkingでの取材となりました。独立初日をここで向かえるのも自分らしくて良いかなと。

どんな記事になるのか今から楽しみです。

その後、長男(中学生)のサッカーの試合(都民の日で学校が休みのため平日に開催)を観に行き、家族で食事をして帰宅しました。